久々のブログアップです。
先週、長嶋茂雄さんが死去され、新聞やTVなどで選手・監督としての活躍が多面的に取り上げていた。まだ幼少だったため現役時代のことは残念ながら記憶がないが、仮にあと10年早く生まれていたら、間違いなく長嶋選手のパフォーマンスに熱狂していただろうと想像する。
■「長嶋監督」が経営理論??
さて、長嶋監督の言動そのものが経営理論というわけではない。1990年代にライバルチームにいた野村監督との対比から導き出された経営戦略やマーケティング戦略の関わる視点であり、10年以上前にビジネススクールの恩師から学んだ「原理原則」の1つである。
長嶋監督:独特のひらめきや直感にもとづく采配、いわゆる「カンピューター」。
野村監督:観察や記録をもとに蓄積したデータにもとづく采配、「ID野球」。
たとえばマーケティング戦略の立案の起点として、「長嶋監督」の視点から個人の個性や感性を重視するのか、それとも「野村監督」の視点から収集したデータを分析した結果を重視するのか・・・という論点がある。どちらの視点が、正しい、間違っているというわけではなく、状況に応じて賢く使い分ければ良いのである。
昨今では、AIの進化もありデータを重視する戦略が選好されているという認識で間違いないと思う。データとはすでに起こっている事実が定量化されたものであり、ファクトベースの戦略立案はまさに「教科書どおり」の正解と言える。ただし、教科書を鵜呑みしてはいけない。
■中小企業の社長はまず「野村監督」になるべき!
ここ最近、複数の地域密着型菓子店の経営支援に関わる機会があったが、POSデータがほぼ活用されていなかった。もちろん売上の集計には利用されているが、来店客や商品の動きを把握するための基礎データとして活かされていなかったのである。菓子店は原材料価格の高騰で利益率が低下し、さらに大手チェーン店との競合にもさらされている。まずは「野村監督」の視点で、自店の実態をデータにもとづき把握することが経営改善の第一歩である。
■「長嶋監督」が切り札
データ重視の品揃えや店舗運営は必要ではあるが、中小企業はデータ活用において大手企業に対して確実に劣位に陥る。なぜならば、企業規模が大きいほど蓄積しているデータ量は多くなるからである、中小企業は「野村監督」だけでは生き残れない。
断片的なKKD(勘・経験・度胸)にもとづく経営には限界があるものの、データ活用で大手企業に勝てないのであれば、「長嶋監督」の視点は中小企業にとって不可欠である。
「野村監督」の視点で経営を捉え、「長嶋監督」の視点で個性や特徴を発揮する。これが中小企業にとっての生き残りの近道だと思う。