日清食品のカップヌードルが1971年の発売開始から50周年とのことで、同じ年に生まれた私も親近感を感じている。最近は食べる機会がずいぶん減ったものの、学生時代には夜中の空腹を何度も満たしてくれた。
ちょうど3年前に放送されたNHKの朝ドラで、主人公の夫婦がインスタントラーメン、さらにカップ麺の開発に悪戦苦闘する姿が描かれていたが、実際の開発現場がどうだったのかは不明ではあるが、世の中にない製品を生み出すための執念は凄まじかったであろうことは容易に想像できる。
発売から50年を経過したカップヌ-ドルは、いまや国内で年間1000億円超の売上高に達し、世界での累計販売500億食とのことだ。開発者の故・安藤百福氏も、果たしてこれだけの販売拡大を想像していただろうか?

カップヌードル 1ケース (20食) | お礼品詳細 | ふるさと納税なら「さとふる」

■ロングセラーのKSF
カップヌードルに限らず、ロングセラー商品は身の回りにかなり存在している。代表格には三ツ矢サイダー、森永キャラメル、味の素、カルピスなどがあり、この4アイテムは発売から100年を超えている。ロングセラーに共通するのは、ジシンプルでかつ普遍的という点だ。商品は、コンセプト、基本的機能、商品構成要素の3階層で構成されるが、ロングセラーはこの3階層が一気通貫で整合しており、ムリやムダを感じさせない。他方で、長く愛されるために、その時代の流行や消費者の嗜好も適宜反映させ、少しずつ進化を続けている、発売当初からまったく変わっていない商品は僅少だ。

■「カップヌードルをぶっつぶせ」と言える強さ
そんな中で、日清食品の大きな特長と言えるのは、企業内ブランドの競争関係である。日清食品は、国内の消費財メーカーでも先駆的に「ブランド・マネージャー」を導入した企業である。ブランド・マネージャーとは、ブランドの価値を高めるために、ブランドづくりからマネジメントまでの活動を統括し、ブランドに関わる経営的責任を担う。カップヌードルのブランド・マネージャーは、いわば「カップヌードル株式会社」の社長に相当する。
百福氏の子である宏基氏(日清食品HD社長)が、かつて「カップヌードルをぶっつぶせ」と宣言したいう有名な話もあるが、社内ではブランド同士がしのぎを削り合っているというのは、経営戦略やマーケティング戦略の事例でもしばしば取り上げられている。カニバリゼーション(共食い)を恐れずに切磋琢磨する強さが、競合他社への対抗力の源泉になっていることは間違いないだろう。こんな会社で揉まれたカップヌードルが半世紀にわたり生き続けたのは納得できる。

百福氏の孫である徳隆氏(日清食品社長)は、日経MJの取材で「完全栄養食」の開発について語っていた。将来、完全栄養食のカップヌードルとして新たな進化を遂げているかもしれない。