「ウィズ・コロナ」に向けて、生活様式や消費行動、経済活動などにおいて従来とは異なる対応に留意する場面は増え、徐々に習慣として定着してきていると感じる。これまでの「常識」が徐々に変わりつつあり、私自身の考え方もたぶん変わってきていると思う。他方で、毎日新たな感染者が増加し、集団感染も各地で発生している。いわゆる「第2波」は確実に来ている。
仕事においても、経営環境分析に関わる視点や分析から導き出す結論や経営戦略の方向性についての発想を変える場面が出てきている。そんな中での一番の懸念は、「いったいコロナがいつ終息するか?」がまったく見えないことだ。

■この数十年は「幸運な時期」?
目の前にある新型コロナウィルスとの“共存”について改めて考えなくてはならない。
過去の歴史を振り返ると、人類はさまざまな感染症に対応しながら生き延びてきている。
たとえば、シルクロードを経由してアジアから欧州に広まったと言われるペストは、6世紀から8世紀にかけて流行し、東ローマ帝国や中国の隋が衰退・滅亡した一因とされている。ペストはその後14世紀に再び大流行し、当時の西ヨーロッパの人口の1/3~1/4が死亡したとされている。20世紀初頭に香港で流行した後にはペストの世界的な流行はないものの、ペストが根絶されたわけではない。
また第1次世界大戦末期に大流行したスペイン風邪は世界全体で5,000万人~1億人が死亡したと推定されている。
第2次世界大戦後の70年超の間に感染症の世界的な大流行はなかったが、過日目にした某証券会社の調査レポートではこれを「ある意味『幸運』な時期」と評している。我々が生きているこの数十年は、感染症の影響をほとんど受けなかったという点で人類の歴史では例外的な時代なのかもしれない。「新しい生活様式」は新しいとも言えないのかもしれない。

■目の前の経営危機への対応は?
政府が主導するコロナ対策の金融支援策により、目先の資金繰りに対する資金供給はある程度進んでいるが、「幸運な時期」が終焉したのであれば、企業存続の支援も長期的なスタンスで取り組まなければならない。おそらく今秋以降に、資金繰りに苦慮する中小・小規模企業が増加すると予想され、そこで倒産、廃業の第2波が来るだろう。
支援者である中小企業診断士として、コロナによる経営危機に対して貢献できることは、正直なところ、あまり多くないかもしれない。個人的な見解として、事業承継問題を背景に国内の中小・小規模事業者は今後確実に減少すると考えていたが、残念ながら新型コロナウィルスによる経済危機で、中小・小規模事業者数の減少のペースはかなり速まりそうだ。
もう「幸運な時期」には戻らないという割り切りの中で、地域社会にとって必要不可欠な事業者を1つでも多く存続させることに注力したい。