改元が絡み、4月27日から5月6日までカレンダー上の休日が10日連続するという超大型連休が終わった。私自身は、残務整理に2日ほど時間を使った以外には、農作業や庭の手入れ、家のメンテナンスなどで多くの時間をを自宅で過ごしたが、県内の観光地を休養を兼ねて1泊2日で訪問し、異例の連休をそれなりに有意義に活用できたと思っている。
訪問したのは北信の小布施、飯綱のサンクゼールワイナリー。両方とも県外からの来訪と思われる観光客がかなり多く、シニア、ファミリー、若者グループなどの割合が高かったという印象だ。

「改元のご祝儀」という心理が作用したからなのか、観光客の購買行動においては比較的「財布の紐」が緩くなっていたように感じた。たとえば小布施の某栗菓子店が販売していた1つ¥1,500のモンブランを買い求める客がかなりいた。またサンクゼールワイナリーの直営ショップでは、レジの行列に並んでいた客の買い物カゴにはほぼワインが入っており、さらにジャムなど複数の商品を土産物として買い求めている様子が見受けられた。この時、この場所だけは「景気回復」を感じることができた。

しかしながら、これは改元絡みの超大型連休という「非日常」の一場面にすぎず、通常の消費が活発になっているわけではないだろう。消費者の購買は、購買対象になり得る商品の相対的な価値(=購入に値するか否か)、裏付けとなる購買力(=購入に必要な金銭的な余力)によって影響されると考えられる。前者は、個々のメーカーや店舗の経営努力により高めることが可能である。他方で後者は、消費者の所得水準によるものであり、景気動向や個別企業の業績などに左右されると考えられる。
政府は「給与は上がっている」と言い続けているが、これは民間シンクタンクの調査でもそのような結果が出ており、事実と考えて可であろう。ただし、購買力に直結するのは、給与(額面上の収入)ではなく可処分所得(実際に使えるおカネ)である。たとえばニッセイ基礎研究所の調査では、可処分所得の伸びは雇用者報酬(給与や雇用者負担分の社会保険)の伸びを大きく下回っているとの結果が出ている。給与は上がっているものの、使えるおカネは増えていないのが、消費が引き続き低迷している要因の1つと言えそうだ。

10月には消費税率引上げが予定されており、消費者の「財布の紐」が今さら緩むとは考えにくい。もしかすると、改元直後のこの「景気回復」のような場面にはもう2度とお目にかかれないかも・・・・・という気がするが、果たしてどうか。