先月18日から「平成30年度補正『ものづくり補助金』」が公募開始になっている。今回は公募の締め切りが変則で、第1次締切がすでに2月23日で終了しているが、実質的には“超大型連休”明けの5月8日が締め切りである。補助対象の類型は「一般型」と「小規模型」の2パターンで、昨年盛り込まれた「企業間データ活用型」は外れているが、基本的な枠組みは29年度補正公募時とほぼ同様と考えて問題ない。

関連画像

さまざまな情報を集約すると、「ものづくり補助金」の競争レベルは年々確実に上がっている。金額や補助率の魅力度が高い補助金であることが理由の1つであるが、我々士業を含む支援者によるサポートが年々手厚くなってきている事情も影響していると考えられる。ネット上でも、ものづくり補助金採択をうたった宣伝(広告)が氾濫している。
一部の不適切な「補助金ビジネス」は論外であるが、補助金を契機として事業計画を立案し設備導入により経営基盤を強化することは、中小企業にとって間違いなくプラスであり、その支援は中小企業診断士として重要な使命の1つだと確信している。

■事業計画をいかに「洗練」させるか?
ものづくり補助金の申請では、今や「単なる設備投資」というレベルの事業計画は少数派となり、最重要ポイントである「革新性」の訴求に各事業者(そして支援機関)が注力してきている。そうなると、事業の構想~計画の内容自体の「優位性」、計画書としての「洗練性」をいかに確立するかが採択の成否につながる。事業内容の優位性は、新サービスや新技術開発の「独創性」と換言することもでき、各事業者のアイディアや創意工夫が不可欠だ。他方で、計画書の洗練性は、つまるところ「表現力」であり、どちらかと言うと支援者側の役割が重要になる。
ものづくり補助金で私自身が関わる支援領域は、事業者のアイディアをより洗練させることがほとんどである。この際、かつて営業職として蓄積したプレンテーションの知見や広告代理店での実務経験が大きく役立っている。構成を考え、語句を選定し、文書表現を洗練させていくプロセスは、もちろん簡単ではないがとてもやりがいに満ちた仕事だ。

■「教科書」だけでなく「参考書」も大切
公募要領は補助金申請の「教科書」に相当し、この内容の理解は必須である。それとともに、「中小サービス業の生産性向上のためのガイドライン」(https://www.meti.go.jp/policy/servicepolicy/service_guidelines.pdf)および「『中小ものづくり高度化法』にもとづく特定ものづくり基盤技術」(http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/download/shishin/2018/sall.pdf)は、事業計画作成の「参考書」としてかなり有用だ。実は私もこれら参考書からヒントを多く得ている。

平成29年度補正での公募では、1次公募と2次公募で計5件の申請支援に関わり、幸運にも5件とも採択に至った。今回の公募でも採択率100%を目指したい。