物販ビジネスでは今後業種・業態を問わず、何らかの形で「アマゾン・エフェクト」の影響を受けると予想されるが、それでは圧倒的なアマゾンの影響力に対処するにはどうすれば良いのか・・・・・事業の存続を図るためには避けて通れない難題だ。
■「アマゾンにできないこと」をやる
戦略の1つの切り口は、「『アマゾンにできないこと』をやる!」である。
リアル店舗に進出してきているものの、アマゾンの主要な事業領域はやはりネット。であれば、リアル店舗で差異性を模索するのが戦略の指針になる。
また、ネットでは流通しない(あるいはさせられない)商品の販売・提供も考えられる。巨大な倉庫~物流ネットワークを強みとして活かせるのは、大量流通する商品(カタチがあるモノだけでなく、カタチがないサービスも)。そこで必要な基本的なコンセプトは「今だけ」「ここだけ」だと思う。数量や時期が限られた商品は大量流通が不可能で、「アマゾンにできないこと」の1つである。たとえば、材料が限られている、作り手が限られている商品は、当然供給量も限定される。また、自社ブランドを確立し商品化できるのでれば、これも「アマゾンにできないこと」になる。
■「コト消費」へシフト
さらに「コト消費」の観点から戦略を検討することも有用だと考えられる。消費者の購買志向において「モノ」から「コト」への移行が指摘されている。たとえばぴあ総研の調査によれば、音楽コンサート・演劇・ミュージカル・歌舞伎など舞台イベントの市場規模は拡大が続いており、平成29年には合計5151億円に達し、平成2年の統計開始以来過去最高となった。歌舞伎を見る若い世代が増加し、大相撲は連日「満員御礼」であることも、こうした購買行動の変化を裏付けている。
物販ビジネスでも、今後ますます「コト」の付加を模索することが必要だろう。店舗イベントの企画~開催なども選択肢の1つであり、また店舗でのさまざまな体感を来店客に提供するためには人的接客の充実を追求しても良いだろう。