アマゾン・ドット・コム(以下、アマゾン)は、1994年に米国ワシントン州・シアトルで誕生し、翌年から画期的なオンライン書店サービスを開始した。2000年頃に発生した「ITバブル」崩壊後には「アマゾンはいつになったら利益が出るのか?」という事業に対する懐疑的な見方も存在したが、現在はいわゆる「GAFA」の一角を占め、社会インフラ的な役割をも担っている。取扱い商品の領域も拡大し、まさに「百貨店」と言えるほど多岐にわたっている。アマゾンの日本事業における2017年の売上高は1兆3335億円(円換算)で、前期比14.4%増とのことだ。

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このアマゾンの強大な影響力が、「アマゾン・エフェクト」として、米国でさまざまな業界で顕在化している。「アマゾン・エフェクト」とは、アマゾンが次々と進出する業界で業績の低迷にあえぐ企業が増えている現象で、百貨店やスーパーにとどまらず、生鮮品や衣料品、コンテンツ産業など幅広い業態に及んでいる。さらにアマゾンは「ネット」から「リアル」へも進出しており、高級食品スーパーの買収を起点にリアル店舗網の構築を本格的に開始し、コンビニエンスストア 「アマゾンゴー」や書店チェーン「アマゾン・ブックス」も展開し始めている。 今後日本でも同様の動きが始まる可能性が高いと個人的に考えている。

アマゾンはその圧倒的なデータ活用力を発揮して、リアル店舗への進出によりその影響力をさらに増大させると予想されている。たとえば、リアルで買う顧客の行動とネットで買う顧客の行動の両方のデータを蓄積すること可能で、「スーパーでAという商品を買う顧客は、ネットではBの本を買う」というネットとリアルの境目を超えたデータの活用が進展するであろう。
また、リアル店舗における物理的制約もクリアすると考えられる。つまり、リアル店舗の背後にある巨大な「倉庫」(物流センター)の在庫と連携すれば、リアルな店頭にすべての在庫を揃える必要はなく、リアル店舗では売れ筋だけを絞って、より効率的な陳列・展示を行うことも可能になる。

データ活用のノウハウ&倉庫の巨大さでおそらくアマゾンに対抗できる企業は、世界には存在しないのではないか。物販ビジネスでは今後業種・業態を問わず、「アマゾン・エフェクト」を意識した事業戦略が不可欠になると思う。

次回に続く。