前回のブログでM&Aについて述べたが、18年あまりの会社員時代にM&Aを2度経験した。
1回目のM&Aは、新卒で入社した1番目の会社での買収(親会社の交替)。2回目のM&Aは、2度目の転職で入社した3番目の会社での合併だ。関連画像

■最初のM&A
最初の買収は今から20年以上前のことで、当時はまだM&Aがそれほど活発ではない時代だった。1番目の会社は、情報機器のレンタル・リースサービスが主要事業で、一種の金融サービスであり、先行投資に必要な資金調達が重要な課題であった。その会社の資金調達力は、間接的に親会社の財務基盤の影響を受けるため、事業の拡大に向けて財務基盤がより強固な親会社による支援が必要だという経営判断があったと聞いている。
当時は入社3年目で、経営に関与する権限など全くない平社員だったが、上司が中心となってM&Aに動いているのは途中から知っていた。
結局、某メーカーに買収されたが、その後さまざまな問題と課題が生じた。

■M&Aは簡単ではない!
情報機器レンタルサービスと製造業とでは、価値観、思考様式などに差異があるのはごく自然なことだ。しかし、ともに仕事をするという現実においては、時にはその差異がさまざまな形で障害となって表面化する。
それぞれの企業には、独特の組織風土がある。創業以来の歴史の中で自然発生的に社内で醸成される雰囲気、価値観などだ。M&Aで最も難しいのは、この組織風土の融和だと思う。「親会社の人たちは、なんでこんなことがわからないの?」と感じる場面もあり、そして時には上司に噛みつくこともあった。こうした問題は時間が解決してくれる面はあるものの、人間という生き物はそんなに都合よくはできていない。
買収後しばらく経ってから、他の買収候補企業について上司から聞く機会があった。「そっちの会社の方がよかったのでは?」と問うたことを今でも覚えている。買収が実現し、実際に会社が動き始めてからでないと、買収した相手が良かったのかどうかはわからないということを実感した。

以上、次回に続く。