事業承継時の相続税・贈与税の納税を猶予・免除する「事業承継税制」の特例措置が今年4月から適用されている。現行税制でも、株式の贈与・相続時に納税猶予の措置が盛り込まれているいが、特例措置により適用要件の緩和や将来リスクの軽減が図られている。経営者交替が予定されている場合、具体的な税務対策は支援を受けている会計事務所にまず相談するのが定石ではあるが、情報収集は先に進めておくにこしたことはない。

★中小企業庁HP
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2018/180402shoukeizeisei.htm

★TKCグループHP(※現行税制との対比表はわかりやすい)
http://www.tkc.jp/jigyoshokei

 

特例措置の概要としては、
①納税猶予となる株式数の上限を撤廃
⇒事業承継時の相続税・贈与税の現金負担をゼロにすることが可能。

②株式贈与者は先代経営者に限定せず、後継者も複数名(最大3名)が対象
⇒当該企業の実情に合わせた多様な事業承継が可能。

③売却・廃業時の株式評価額で納税額を再計算
⇒仮に経営状況の変動で株式評価額が事業承継時から下落しても、納税額の減免が可能。

④納税猶予に必要な事業承継後の雇用維持要件(5年間で平均8割以上)を緩和
⇒雇用維持にあまり縛られず、より自由度が高い経営が可能。

この特例事業承継税制による贈与税・相続税の納税猶予を受けるには、平成35年3月31日までに「特例承継計画」を都道府県に提出する必要がある。この計画は、経営革新等支援機関(いわゆる認定支援機関)の指導・助言にもとづき作成することとなっている。事業承継への対策の基本原則は「早く対応する」ですが、税制特例に関してもはやり同じことが言えそうだ。