ここ最近、AI、IoT、ロボットなどが生産性を向上させる主要な技術として注目されている。そんな中で、現在人間が関わっている仕事の多く領域がAIに代替されると予測されている。

9月25日の日経朝刊では、「AI時代のサムライ業」という見出しで、士業が関わる定型的な独占業務がAIに代替される可能性が取り上げられている。また、中小企業診断士の情報誌である「企業診断ニュース」9月号でも、「ヒトと中小企業診断士のAIとの付き合い方」という特集が掲載されている。

数値などの定量情報の分析は、人間がコンピューターにはかなわない分野であり、例えば、診断士が行っている財務分析も、そう遠くない将来、決算データをAIに分析されることがごく当たり前になると思われる。また、会計監査における定型業務などもAIに代替される可能性が高い。会計監査では、従前からITを活用した監査手法が活用されているが、AI導入でより大量のデータを対象にした監査が可能になり、人間が見落としていた会計処理の不備や、さらには粉飾決算も発見できる可能性が格段に高まるだろう。

前掲日経の記事によれば、中小企業診断士のAIによる代替可能性は0.2%で、「経営者を説得する能力などが重要で、代替可能性は低い」とされているが、私の実感としては、代替可能性がもう少し高いように感じる。例えば、決算資料にもとづく財務診断は、前述の通りAIが代行する形態になるだろう。また経営戦略の立案においても、類似企業の過去事例などを踏まえたAIによるシミュレーションは技術的に可能だと考えられる。たしかに、診断士業務そのものがAIに代替される可能性は低いが、業務のある程度の領域はAIに代替されうるのではないか。

 

次回につづく・・・