先月20日に農業経営セミナーの講師として徳島県を訪れた。「6次産業化の勘所」というテーマで1時間ほど講演させていただき、セミナー後の懇親会では、農業者、支援機関の皆さまとも交流させていただき、貴重なお話しもお聴きできた。

徳島県の訪問は初めてであったが、そこにはなじみの信州の農業とは違った農業があった。徳島は、比較的温暖な気候、関西地域と距離的に近い“地の利”を活かし、長年にわたり「大阪の台所」として、さまざまな農産物を供給する役割を担ってきている。全国的に有名な「鳴門金時」をはじめ、みかんなどのかんきつ類、ハウス栽培・路地栽培の野菜も多種多様で、幅広い。また、稲作も行われ、その裏作で麦も栽培されている。その中で「餅麦」も栽培されているようである。寒冷な信州では、稲は一作で、秋まき麦の裏作で通常大豆あるいはそばが栽培されており、様子がかなり異なっている。

また徳島県が、農業生産法人、さらに農業法人協会発祥の地であることも初めて知った。家族単位の経営から組織的な経営に変換することにいち早く挑戦し、その農業法人を組織化して、相互連携する取り組みを先駆的に進めてきたのである。

今回の出張での「収穫」は、他県農業についての知見、そして進取の気風に富み、熱い思いをもって農業に取り組む方々とのご縁である。信州に留まらず、さまざまな地域に伺うことの大切さも学んだ。